7 罠

… 2004年6月1日 19:00


指示通り高い草を踏みしめ歩き続け、小高い丘に登りきると坂本の死体があった。

血だらけじゃん・・こんなに体に穴開いてるよ・・
死体に顔をしかめつつも、これが現実だということと、自分がやらなければ同じ姿になるということを実感すると、山下はバーチャル・リアリティゲームの主人公にでもなったような錯覚を覚え、興奮してきている自分に気づいた。

そうだ。とにかく最初は武器をゲットしないと。
すぐゲームオーバーになっちゃうよ。

山下は坂本の死体から目を逸らすと、周囲を見回しそれ探す。

すると草むらの中で銃弾を浴びたと思われるぼろぼろのバッグを見つけた。
あわてて駆け寄りバッグを手にしたが、その中身は飛び散ってしまったのか、目指す武器は見当たらない。

なんだよ!入ってないじゃん!

あせった山下は辺りの草を乱暴に蹴散らして歩き回っているうちに
「うあ!?」
何かに足をひっかけたようで思わず転びそうになった。

「いったぁー。なんだよーもぉ。」

つまずいた足元を見てみると焦げ茶色の長い柄が草むらから飛び出していた。
思いのほかずっしりとしたそれを持ち上げる。

「あはっ!やっぱオレ、ほんとついてるなー」

どうしてかNewSの中で一人だけ選ばれた社長イチオシの山下は、まだ少年の面影を残したその顔を緩め、周りに落ちていたライフルの予備の弾までも拾い上げると、満足げにその場からぶらぶらと歩き出した。


それから暫くして丘を下ると、右前方の木の陰に人影が見えた。

あ!向こうに敵発見!
じゃあ撃たせてもらいまーす。 

山下は素早く安全装置を外し狙いを定めて銃の引金に指をかけた。


バーン


思いのほか強い衝撃が肩に走った。
長い息を吐きそれに耐え、ライフルを持っていた腕を下げる。
山下は自分が狙った人影がくずれ落ちたのを見ると、それを確認すべく足を速めた。



え?
今井はいきなり後ろから体に衝撃を受けて木の陰にうずくまった。

くっ・・・・
な・・・なに?

一瞬何が起こったのかわからなかったが、突然体に焼けるような痛みを覚えた。

腹が熱い・・・・燃えるように・・熱い・・・

見ると腹部から血があふれ出している。
信じられないほどの大量の血が自分の体から流れていた。

うう・・・

あまりの痛みに呻いていると足音が近づいてきた。

!?
苦しい体勢で振り返ると山下がこちらに近づいてくるのが見えた。
手にしているものはライフル――

自分の身に何が起こったのかわかるとその感情は恐怖に支配された。

やまぴーが・・・
なんで・・

今井は迫ってくる山下から逃げようと体を起こそうとした。

立てない・・・

「翼くん?何してんの。こんなとこいたら危ないじゃん」

側に来た山下が覗き込みながら言った言葉に、恐る恐る顔を上げた。
今井の視界に写ったのは、まるで面白いものでも見るように笑っているそ山下の顔だった。

「やま・・・」

今井は額に大量の脂汗をかきながらもふらふらと立ち上がった。

「どこ行くの?翼君そんな怪我してたら無理だって」

ニコニコと悪びれず山下はそんな今井を眺めている。

「滝・・・」

もう腹部から足にかけて真っ赤に染まっている。
今井は2、3歩、足を前に踏み出しただけで膝から崩れ落ちた。

「滝沢・・・」
「何?滝沢君?」

今井が口にした名前を山下は聞き返す。

「・・・撃つな・・滝沢は」

今井は途切れ途切れにそれだけ言うと草の中に倒れた。

「れ?翼君?死んじゃったの?」
なんだよ・・・滝沢君って・・・ばかじゃねー?
山下はなんとなく面白くなくなって今井の体を軽く蹴った。

するとそれに反応したかのように、突然今井は山下の片足をつかんだ。
「うわっ!」
バランスを崩した山下はたまらずその場に転倒した。

「撃つ・な・・滝沢・・・だけは・・・」
ずるずると今井は這い蹲りながら、山下へと向かってくる。

「な・・なんだよ!」
その様子に気味悪さを感じ山下も腰をついたままで後ろに下がった。

「撃つな・・」

血だらけの体を動かし必死の形相で尚も今井は山下へと近づいてくる。

「ちょ!こえーって!!」
山下はライフルを握り締めるともう一度、今井へと銃口を向けた。


バンッ!


耳をつんざく音がして、銃弾が今井の額を貫通した。

それと共に崩れ落ちた今井は、二度と動くことはなかった。

【今井翼 死亡 残り19名】

 

滝沢は空を仰いだ。

今のは・・・銃声?
驚いて暫くのあいだ耳を澄ましていると

バンッ!

と程なくまた銃声が響いた。
誰かが撃たれた?
そう思うと同時に音のした方へと向かった。

一体今度は誰が・・・
まさか・・・翼じゃないだろうな・・・

その二発の銃声音で、撃たれてもいない自分の身体に激痛が走り、得も知れない不安が広がっていた。
滝沢は腰のベルトに差した拳銃の感触を確かめて木々の間を走り出した。

しかし30秒も走っていないところで、前方の道を人影が横切ったような気がしてその方向へと目線を走らせた。

あれは・・相葉?

ふらふらとした様子で歩いている人物が相葉だとわかり、滝沢は足を止めた。
だが相葉はこちらの存在には気づいていないようで、立ち止まることもなくそのまま歩いていく。

「相・・・葉?」

思わずかけた声に、相葉が振り返ったその瞳を見て滝沢は凍りついた。
何かをぶつぶつ呟きながら、人形のように表情がなく空を捉えて泳いだ瞳に。
そして、また何処かへと歩き出した相葉が去っていくのに、それ以上は声をかけることができずその背を見送った。

あいつ・・・やっぱ、おかしくなってる・・!?

大野が死んだときの、相葉の尋常ではないあの様子が蘇る。
首をひねりながらしばらく相葉が去った方向を見ていたものの、はっと銃声を思い出した滝沢は相葉に背を向けまた足を速めた。

程なく、丘の手前に抜けると滝沢の視界にある光景が映った。

――山下?なにしてんだ?

かがんだ格好で何をしているのか、こちらからは分からないが、その後姿から山下だとわかり滝沢は注意深くそろそろと近づいた。


今井の荷物を確認していた山下は、背後から黒く伸びた人影に気づき振り返った。
滝沢のいきなりの出現に山下は虚をつかれたような顔をした。

「滝沢くん・・・」

しかし滝沢の視線は山下ではなく、その向こう側へと注がれている。

「つ・・・ばさ?」

山下の位置から少し離れて地面に横たわっている今井の姿を一瞥した滝沢は、すぐさま駆け寄るとそのからだを揺さぶった。

「翼!?翼!!返事しろよ!翼ぁーーー!!!」


やっべええ・・・
滝沢の腰の拳銃が目に入り、山下は素早く頭を働かせた。

今の銃声で他に誰かが来ないとも限らない。
そうだ、それに・・あせる必要はない。
何よりオレには強力なバックアップがあるのだから・・・。

滝沢の様子を伺うと今井の死に動転していて、ありがたいことにこちらの動向にも気づいていないようだし、それどころではなさそうだ。

激情にかられそのピストルを乱射しないとは限らないが、今まさに素晴らしいアイディアが浮かんだ山下は、その考えを実行してみたくなりたまらなくなった。

山下は、今井のバッグを物色することはあきらめ、口を開けたままの自分のバックの中に無造作に放置していたライフルを奥に押しやりファスナーを閉めると、何食わぬ顔で今井のからだを抱きおこし泣きすがっている滝沢に近づいた。


「翼!翼!」
滝沢はもう動かない今井に必死に呼びかけていた。

「なんでだよ!なんでおまえがやられたんだよ!」
震える指で今井の額の傷口から溢れている血をぬぐい、しかしなす術もなく滝沢は嗚咽し始めた。

ほんの少し前だった
あの二度の銃声が翼の命を奪ったんだ。
もっと前に翼に会えてたら・・・
なんで!なんで!!!

とめどなく涙が溢れてくる。

どうして翼が、こんな目に!

滝沢は怒りの満ちた目でそこにいる山下を睨みつけた。

視線に気づいたのか山下は懸命に頭を振った。
「オレがもっと早く来てればこんなことにならなかったのに・・・」

山下・・・?

自分と同じように今井の死体に涙を浮かべている様子に、滝沢は訝しげに視線を送る。

山下じゃないのか?・・・翼をやったのは・・

「誰が・・・誰がやったんだよ!翼やったのは誰なんだよ!」

混乱した滝沢は声を荒げた。

「わかんないけど、でもオレがここに駆けつけたとき、ちょうど誰かが向こうに逃げていったみたいなんですけど」
山下は目を伏せ静かに呟いた。

確かに、少し前に向こう側の森の木々の間をすり抜けていった人影を見たのは事実だった。
これは意外にうまくいくかもしれない・・・山下は上目遣いで滝沢の表情を伺う。
食いついてくれ!


誰かが逃げて・・・?
そいつが翼を・・?

滝沢の脳裏に先ほどすれ違った相葉の姿が浮かんだ。

「まさか・・・相葉が?」
「え?滝沢君、相葉クン見たんですか?」

驚いた山下は思わず滝沢を見つめた。

「ああ、ちらっと見かけただけだけど・・まさか」

きた!

あの人影を滝沢も見ていたとはまさにタイムリーだった。
しかも会話を交わしておらず、見かけただけとはまさに好都合だ。
滝沢をシナリオ通りに動かせるかどうか、後は自分の演技力にかかっていると思うと山下はぞくぞくした高揚感を全身に感じていた。
ゲームはやっぱこうじゃなっくちゃね・・


――テイク1スタート・・・

「ああ・・あれは・・相葉だった・・」
滝沢が消え入りそうな声で呟いた。

「そんな!相葉クンが?なんでだよ!」
すかさず山下はその声にかぶせるように、悲痛な声を出した。

相葉・・・相葉が・・・

滝沢は青ざめた顔でふらふら歩いていた相葉を思い浮かべた。

「・・・・大野君があんな風に死んじゃって相葉クンもおかしくなっちゃったんだ・・きっと」
山下は今井を見下ろししゃがみこむと、震える指で今井の髪に触れ、悲しげに呟いた。

相葉が。
相葉が翼を殺した――?
ウソだろ?信じられない・・・
相葉に限って、そんなはずは・・そんなはずはない・・

「あいつがそんなことをするはずないじゃんかよ・・・」

相葉のことをよく知っている滝沢は山下の言葉を否定した。
しかしそう思いつつも、今さっきすれ違ったときの、あの魂が奪われたかのような瞳
を思い出す。

「そっか・・・滝沢君は相葉君信じてるんだ・・すみません変なこと言って」
山下が急に決まり悪そうな顔になり口をゆがめた。


信じる・・・
山下の言葉がピシリと音を立てて滝沢の胸の奥に落ちていった。
それはまだわずかな亀裂だった。まだ見逃せるほどのかすかな。
しかし相葉を胸を張って信じていると言うのをためらわせるような違和感を感じ始めている自分自身に気づく。

それは自分が今まで構築してきた世界を崩し去るほどの、大きな変化の始まりだった。

「でも、銃声聞こえましたよね・・・相葉君も。オレたちが聞こえたんだし。
なんでこっちの方にはこなかったのかな」
滝沢のカンに触れないようにそっと山下が小さな声でささやいた。

確かに・・・そうだ。
山下の言っていることは一理ある。否定しきれない。

何故――――?

何故あいつはここに来なかったんだろう。
巻き添えになりたくなくて銃声を避けたからだろうか。それは十分に考えられる。

が――
あいつはオレが呼びかけた声にすら反応しないで立ち去った。

あのときの相葉の虚空をさまよった表情。
今まで見たこともない、決定的な何かが欠けている瞳。
それらを思い返すと、打ち消そうとしても疑念は大きくなるばかりだ。

いや――

滝沢は首を振った。

そんなことあるはずない!
何があってもあいつは友達を裏切ったりしない!
相葉は絶対的に信頼のおける友達だ。
今でも変わるはずのない・・・

だけどもし相手がそう思っていなかったら?
何を持ってオレは相葉を信じていると言えるのか?一体何を信じればいいのか。
この世界ではその基準がわからない・・・・

このゲームによってすでに変わってしまった仲間がいることは、掲示板にその裏切りを受けた者の名前を確認して知っているというのに、どうしてまだ相葉がそうじゃないと言い切れる?
オレは本当に相葉のことをわかっているのか?

大野の死。

それによってあいつももうオレには理解不能な、向こう側にいってしまった存在になってしまっているのかもしれない・・・

もしも・・・
本当に相葉、あいつが・・・おかしくなって・・・
翼を
殺した・・・?としたら・・・

大野が殺されたせいだとしても、それは許されるものではない。
翼を殺した行為は、相葉を信頼している自分への裏切りでもあるのだ。

信頼という壁に走った小さな裂け目は、いつの間にか巨大な口に変わっていた。
壁の向こう側は暗黒の闇、その暗がりを作ったものは他でもない滝沢自身だった。
その中に呑み込まれていく滝沢。
渦巻いていた相葉への疑念が確信へと変わった瞬間だった。

大事なものを、同じく大事な友が奪った。
今井を失い、それと同時に相葉というかけがえのない友もまた失ったことに愕然とする。
滝沢はやりきれない怒りと悲しみに打ち震えながら、今井のからだをきつく抱きしめた。


どれくらい時間が経ったろう。
日が落ちて、空には太陽の変わりに薄い月が現れると、辺りは急に涼しい風に包まれた。
今井の血によって、滝沢自身の血と見まごう程、滝沢の服は赤く染まっている。


山下は自分の口述にうまく滝沢がはまったのに満足していた。

美しいな〜友情って。
山下は悲しみをたたえた表情をつくりながら、そんな滝沢の様子に心の中では笑っていた。

最後に翼君が「滝沢を撃つな」と言ったあれ、見せたかったなー滝沢君に。
あれカッコよかったもんなー翼君
ねえ翼君・・きっと滝沢君は翼君のカタキをとってくれるよ?


翼・・翼・・・小さく名前を呼び続けながら
滝沢は放心状態のまま、今井の側から離れられずにいた。
その悲しみは計り知れないほど深いようだ。
悲しみのベクトルをうまく相葉への怒りへ向けるのは容易だろう。


――テイク2スタート

「滝沢君・・・オレがもう少し早く来てたら翼君まだ助かったかもしれないのに・・ごめんね・・・」

山下の言葉に滝沢が顔を上げた。

「銃声2発聞こえたじゃないすか・・・オレ1発目聞いたとき、怖くて躊躇してたんだ・・・
だから、もしあのときすぐに駆けつけていたら、まだ間に合ったかもしれないのに・・」

2発の銃声・・・

そうだ。それが何を意味するものか・・・
滝沢もわかっていた。

相葉は、2発目で翼にとどめを撃ったんだ。
事故でも偶然でもなく相葉が本当の殺意を持って銃弾を放ったのが、翼の背に撃ち込んだ弾が腹部に貫通しているのに加え、額にも撃ちこまれていることからよくわかる。

「いや。山下おまえのせいなんかじゃない・・これは」

滝沢は力なく頭を振った。

そうだ。翼を撃ったのは、殺したのは相葉――

「信じらんねーよ。オレ。だって翼君はきっと武器も持ってなくて無防備だったんじゃないかな・・それを撃つなんて」

山下がバッグを滝沢に差し出した。

その今井の物と思われるバッグを滝沢は開けてみた。
中には武器のボウガンが入っていた。
山下の言うとおり、翼も相葉を信用していたからこそ、無防備のまま武器を手にすることもなく殺されたのだ。
また溢れ出てきた涙をぬぐい去りもせず、滝沢がついにその言葉を声にした。

「――許さない」

え?と山下が聞き返した。

「許せるわけないだろ!翼を殺しやがって」

滝沢の強い決意がその瞳に現れていた。

いいじゃん。いいじゃん いい感じだ。
山下は思わず笑みが浮かびそうになるのを耐え、さも悲しみに暮れているというような顔を作り滝沢を見つめた。

「でも・・許さないってどうするんですか」
「言葉どおりだよ!」

どうやら相葉に復讐を果たすのを心に決めたらしい。
山下のもくろみ通りに。
滝沢は今井をもう一度抱きしめ、それからそのからだを木の幹にもたれかけさせた。

「翼君どうするんですか?」
思わず聞いた山下に

「オレは行かなくちゃいけないから、ここにこいつ置いていくことになるけど・・・」
滝沢は今井の姿を名残惜しそうに見た。
「オレまたここに戻ってくるから」

相葉クン殺しにいくんだ・・・さすが友情パワーって熱いなぁ。
「滝沢君。大丈夫?一人で?」

このときの滝沢の返事によれば、山下は滝沢と共に行動しようと考えていた。
相葉に復讐を果たす滝沢を見たいというのと、その滝沢に真実を打ち明け、殺害するという刺激的なことを考えていたのだ。

「ああ。これはオレの問題だから」

ふーん。そっか。やっぱカッコいいねえ・・・。
山下は唇をゆがめ、きっぱり言いきった滝沢を見た。


翼・・・

滝沢はその友の胸元に光っているペンダントを外すと、握り締めた。

必ず戻るから。また生きてお前に会うために。
覚悟を決めたようにすっくと滝沢は立ち上がった。

「じゃあ、オレは行くから」

そして山下の方を振り返ることもなく歩き出した。
その胸には復讐の火が燃えていることだろう。

――いってらっしゃーい・・

山下は言葉にすることはなくその姿を見送った。

心理作戦見事成功。やっぱ頭使わないとね。
弾の無駄使いはよくないし。

フフッと山下は笑みを浮かべ、滝沢に背を向け自分もまた歩き出した。
その途端、ポケットの電話が震えだした。

「はい?」

すぐさま取り出して応答すると

「誰ガ 撃ッテイイト 言ッタ」
機械的な声質が送話口を通して不気味に響いた。

「え・・でもチャンスだったし」
思わず言い返した山下にすかさず

「コチラハ 全テヲ 把握シテイル。
君ノ 悪イヨウニハ シナイ。
コレコソガ 君ノ 武器ダ。
死ニタクナケレバ 指示ニ 従ウコトダ。」

「え?指示って・・じゃあ指示ください」

「コチラガ 連絡スルマデ 待機シロ」

「え!待機?どこで?いつまで?」

しかしその言葉が相手に届く前に、電話は切られていた。

・・・な、なんだよ。

山下はせっかくきかせた自分の機転をほめられるどころか、逆にたしなめられてしまいさっきまでの上機嫌もどこへやら。

これ便利なようでこっちからは連絡できないんだもんなー。
しかも指示するまでバカみてーに黙って待ってろって?
ライフル手に入れたのになんだよちぇっ!

悪態を吐きつつ地面に投げつけかけた電話を、やはり思い直しポケットにしまいこむと
「ま。いいか」
とりあえずまただらだらと歩き始めた。




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